聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)6 三浦勇雄 イラスト:屡那 MF文庫J

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6 (MF文庫J)

アニメ化も決定して絶好調の本シリーズ。5巻までの累計部数は57万部!
一般的な印税の計算をすると、3,500万円くらいに相当スルネ!
こ、これがメディアファクトリーの看板作家に上り詰めた人間の実力なのか・・・!!(;゚ω゚)
今回の表紙はいつもの戦闘服のダメージバージョン。
胸の上、へそ周辺、絶対領域という3か所の肌色カラーがまぶしい。
そして次回の表紙は担当氏の勧める全裸に三浦氏が屈すると、世の中平和になっていいと思うヨ?ヽ|'ω'|ノ三ヽ|'ω'|ノ
本作は旧作の上等。シリーズを含めて、非常に大きな意味のある一冊となった。
三浦氏の筆の特徴は、アクションにおける勢いを物語全体に波及させることである。
その特徴が「クリスマス上等。」のデビューに始まり、上等。シリーズの完結に至らせたと言っても過言ではない。
それは三浦氏にとって最大の武器であり、同時に最大の弱点でもあった。
というのは、勢いづけるためのアクションシーンがあれば、どのような所からでも物語を最高潮に持っていくスキルを持っているが、
逆に、アクションシーンがない部分で盛り上げなければならない場面・展開のときには、その最大の特徴が活かせなかったということである。
それが、本シリーズの第3巻にて如実に現れたが故に、私は不満・消化不良感を味わったのではないかと思う。
本シリーズは、その至る所で前述したアクションに頼らない物語のトーンの牽引という手法を試みていることがわかる。
そもそも、本作の第1巻をいつもの勢いに任せた執筆方法によらず、静かに、炎が燃え上がるように物語を牽引した試みは、まさにそういうことだろう。
だが、三浦氏はこの6巻をもってその弱点を克服したと言える。
6巻は、セシリーやルークたちに最大の危機が陥る物語的には、もっとも読者にストレスを強いる内容である。
アクションシーンはあるが、物語の展開としては、アクションで盛り上げたテンションをそのまま物語に投影させようとすると、主人公たちはどん底なのに、読者のテンションはハイというちぐはぐな形になってしまう。
これは、読者が主人公側に投影して読めばいいのか、それとも悪役に投影すればいいのかの混乱をきたすことになる。
が、三浦氏はこれをアクション以外の小さなドラマの積み重ねで物語を盛り上げるという手法で解決した。
三浦氏がアクションの勢いと、ドラマの積み重ねによる盛り上げと、2本の槍となる強力な武器を手にした瞬間である。
読者にストレスを強いる展開を、おもしろく読ませてこそ次の逆転劇が活きる。
三浦氏の続刊は、これは良い意味で大変なことになると期待せざるを得ない。