皇族と帝国陸海軍 浅見雅男 文春新書

皇族と帝国陸海軍 (文春新書)

皇族と帝国陸海軍 (文春新書)

幕末の戊辰戦争から第二次世界大戦までに、軍人となった皇族いわゆる「宮様」たちの記録。
皇族が軍人となった場合、階級の進級において優遇されるケースが大半だったが、それは健常でいられた場合の話であって、体の弱い皇族も多く、早くして命を落とすケースも多々あったという。
本書で最も印象深かったのは、かつて皇族だったが、臣籍降下して皇族でなくなった小松輝久侯爵であろうか。
小松輝久伯爵は実力がなければ、皇族といえども進級が難しい海軍において、艦長として見事な軍艦の操舵を見せるなど、実力で第六艦隊司令長官となった人物である。
しかし、それが仇となり、戦後の戦勝国による裁判によって、皇族の関係者の中で唯一、戦犯として裁かれた人物でもある。
服役中も特に不遇な扱いを受けたとのことで、軍人生活の最後を飾るには、あまりにも不運な境遇になんとも物悲しい気持ちにさせられる。