伊号潜水艦訪欧記 伊呂波会編 光人社NF文庫

伊号潜水艦訪欧記―ヨーロッパへの苦難の航海 (光人社NF文庫)

伊号潜水艦訪欧記―ヨーロッパへの苦難の航海 (光人社NF文庫)

「艦これ(艦隊これくしょん)」における「潜水艦派遣任務」の元ネタである大東亜戦争(太平洋戦争)中に行われたドイツへの計5回の潜水艦派遣作戦についての文庫書籍。
艦これ中において、ドイツ艦を入手するために計5回の潜水艦遠征任務が必要となるのも、この史実の5回の派遣作戦が元になっているからと思われる。
艦これの伊8の図鑑でも言われている通り、ドイツへの往復に成功したのは伊8のみであるが、往路に成功したのは他にもある。
しかし、復路において本国近くまで来ておきながら、機雷や潜水艦、爆雷によって撃沈されている。
本書は往路に成功した伊29号に搭乗し、ドイツ駐在武官としてドイツへ渡った人物の記録を、当時の潜水艦関係者を中心に結成された「伊呂波会」(伊呂波は、潜水艦の伊号、呂号、波号を意味する)が貴重な当時の写真とともにまとめたものである。
当時の潜水艦がどのようなものだったのか、そして課せられた任務がどのようなものであったのか、ドキュメンタリーということもあって、実に身近な興味をもって読める。
また、本書からは伊8のセリフ「最後まで抵抗するよ」の元ネタもひも解くことができる。
伊8号はドイツへの往路に成功し、ドイツから技術供与として20ミリ機関砲とその運用方法を譲り受ける。
いざ、潜水艦が浮上しなければならなくなったとき、この20ミリ機関砲でもって対抗するというのだ。
伊8号はドイツへの派遣作戦に往復とも成功するのだが、その後、激戦の続く中において、その20ミリ機関砲を打ち続けながら、最期のときを迎えることになる。