海賊と呼ばれた男(上・下巻) 百田尚樹 講談社文庫

出光興産の創業者、出光佐三の生き様を元にした歴史経済小説
まだ石炭がエネルギーの主流の時代、若くして早くも石油がエネルギーの主役となると見抜いた国岡鐵造は、戦前の日本で世界を相手に石油販売をめぐる戦いを潜り抜ける。
やがて、石油は世界の命運を左右する重要物資となり、日本は石油という点からも世界大戦での敗北を必然とされてしまった。
焦土と化した日本で、国岡鐵造はすべてを失いながらも、日本再建のために、再び世界を相手に石油を巡る戦いに挑む。
戦前の石油事情、戦後のGHQの石油政策、日章丸事件と、石油を取り巻く日本の事情、事件が次々に描写される。
国岡鐵造というフィクションの人物を通じてではあるが、これらは実際の日本の歴史を描いたドキュメンタリーでもあり、非常に興味深く読み進めた。