イリヤの空、UFOの夏 第4巻 秋山瑞人 電撃文庫

絶望と希望をシェイカーでシェイクして、さぁ最後に残ったのは絶望か希望か?もしくは、ハッピーエンドかアンハッピーエンドか、でもいい。自分なりの言葉でこの作品を表現するとしたら、こんな感じになる。コメディとシリアスが網目のように混ざり合って、最早どちらがどちらかわからない。
鉄人定食、素晴らしかった。虫を取り出すシーン、吐くかと思った貧血でぶっ倒れるかと思った。結局のところ、私の中での本作への評価は未知数としか言いようがない。「神様家族」や「ROOM NO.1301」はそれぞれおもしろさのベクトルが全く違う方向を向いているが、私は諸手を挙げて絶賛する。が、「イリヤの空、UFOの夏」ではそれができない。しかし、駄作であろうはずもない。それでも、私の中のどこかで、この作品に対して諸手を挙げて名作!名作!!名作!!!と叫ぶことができない。単純に趣味嗜好の問題と割り切ることもできる。しかし、絶賛したい欲求に駆られる一方で、こんな作品、もう二度と読みたくないと拒絶したがる自分がいるのはなんだ。
恐らく、私は悔しいのだ。この作品で中途半端に希望を与えられ、見事に裏切られ、最後に、ほんのわずかな希望とも絶望とも言えるものを残され。言いようがないとしか言いようがない。この胸にわだかまる何かは。