機動戦士ガンダムSEED ASTRAY B 千葉智宏 メディアワークス

機動戦士ガンダムSEED」の世界を舞台にした傭兵部隊「サーペントテール」の物語。「機動戦士ガンダムSEED」終了時、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の予定が決定していなかったために、サーペントテールの最終ミッション、太陽砲台の破壊は第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後の停戦条約締結後とされてきたのだが、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の登場により、再度の開戦から終結後のミッションとして変更された経緯がある。が、飽くまでこのミッションが行われたのは「ナチュラルとコーディネイター間の戦争が終結した後」の話であるので、さらなる続編が生まれた場合には、またしてもこのミッションの時系列が動くことになる。
ただ、いずれにせよ謎であるのが、誰が、何のために、どうやって、太陽なんぞに砲台を設置したのか、できたのかということにある。一つの可能性としては、戦争の終結を望まない者が戦後の混乱を招くため、という解釈もできる。しかしそれならば太陽などという非効率的かつ危険な場所に砲台を設置するなどという成功率の低い方法を取るよりも、地球・月・プラントでのテロ行為の方がよほど現実的で厄介な話になるはずである。さらに発展、もしくは回帰させてエヴィデンス01、くじら石と関わりのある外宇宙の知的生命体の存在にまで話を膨らませることも可能になるが、そうするとガンダムというよりはむしろ別のロボットもの作品という気がしてくる。が、太陽系以外の外宇宙に意識を広げたガンダム作品というのは、恐らく「機動戦士ガンダムSEED」のくじら石が初めてのはずで、ならばそういった切り口も「機動戦士ガンダムSEED」、コズミック・イラという世界ならではなのかもしれない。