ホワイトデー上等。 三浦勇雄 イラスト:屡那 MF文庫J

ホワイトデー上等。 (MF文庫J)

ホワイトデー上等。 (MF文庫J)

2ヶ月連続、3倍返しな「上等。シリーズ」第3弾リリース。
ゆかりたんかわいいよゆかりたん。曜子たんかわいいよ曜子たん。
そして文七はめさめさナイスガイだった。友人とはいえ、あそこまで見返りなしに身を投げ捨てられるとは。
本作は鉄平とゆかりの成長と二人の仲の進展を描いているわけだが、同時に内界人が人の心を思い出していく様をも描いている。
絵師のくおさんはこの内界人が苦痛とのことだが、確かに1巻「クリスマス上等。」における描写を見ると苦痛にも感じる。
だが、「内界人」は人としての感情、思いやりといった心が欠落してしまった世界の人間でありながら、
外界人である鉄平らと接触することで、少しずつ本来の感情・心を取り戻していっているのである。
元々、槍ヶ岳はどちらかというと外界人寄りであったが(それでも鉄平から見ればとんでもない人間なのだろうが)、
大目玉は外界人に対する配慮・思いやりが薄かったにも関わらず、ゆかりとの接触を通して罪悪感という感情を思い出している。
本作の魅力、見所はここである。
ただ単に、熱血漢な鉄平とそれに負けずと成長していくゆかりの物語にするならば、
「クリ上。」において逆玉確定しました。ラッキーでした。ラッキーハッピーエンドでした。にすれば良いだけのこと。
それをしないというのは、鉄平とゆかり以外にも今後の物語のテーマとしてキーとなるキャラが存在するからに他ならない。