魔法少女リリカルなのは 都築真紀 イラスト:奥田泰弘・長谷川光司 メガミ文庫

魔法少女リリカルなのは (メガミ文庫)

魔法少女リリカルなのは (メガミ文庫)

まず初めに申し上げなければならないのは、本書を再版するならば今をおいて他にないということで。>学研の中の人
Wikiでの本書の取り扱いが小さく、また各なのは系のサイトでも取り扱われないことから、
小説版のなのはは黒歴史か、あるいは熱心なファンが所持する程度のアイテムとしての存在・価値なのかと思っていたが、とんでもない。
メガミ文庫という、とらとかめろんとか専門店ですら取り扱い数が限られるレーベルのため、どうも認知度そのものが低いだけのことらしい。
小説版についての辛うじて確認できる各記述から、黒歴史的な反応は確認できなかったので、絶対数の問題だとの結論にたどりついた。
そして本書の内容が取るに足らない、あるいはアイテム的な内容であったならばそれでもよいのだろうが、
本書は第1期本編で描かれなかった(描ききれなかった?)プレシア・テスタロッサが狂気に至ったその背景と原因が記されている。
そして心神喪失状態であったフェイトが、なのはとの戦いを通じて次第に心を取り戻していく過程が描かれており、
いわば本書は裏なのは的物語、もっと砕けて言うとフェイトを主人公にしたなのは、という内容にあたるのである。
アニメ本編だけでは、なぜプレシアがここまで狂ってしまったのかは断片的な情報しかなく理解が難しいのだが、
本書にはアリシアとの平和な日々、そしてアリシアを失った事故、さらには失ってから狂気に至るまでが描かれており、
その後のプレシアの様々な凶行が許されるわけではないが、それに至った因果関係への同情の余地はある。
これは第1期〜第3期と視聴する者にとって、フェイトを好む者にとってはぜひ知っておきたい事実でもある。
その意味合いと、そして現在の第3期シリーズが放映中という両面から、本書を再版するならば今をおいて他にないと結論付けたい。
蛇足的ではあるが、「魔法少女リリカルなのはA’s」「魔法少女リリカルなのはStrikerS」のコミック版においても一部の魔法の解説がなされるが、
なのはのスターライトブレイカーの凶悪なまでの威力を細かに解説した書としても一読の価値はある。
そして本編やコミックのみでは拾えなかった世界観等の設定も記述されているため、設定を追う者にとっては必読の書でもある。
故に、最大の欠点はほとんどの書店(専門店含む)で取り扱われないレーベルであるがゆえに、非常に入手困難であるという点に尽きる。