機動戦士ガンダムUC 第2巻 福井晴敏 角川書店

うん。やはりガンダムであることを忘れて、福井晴敏の作品であると意識して読むとおもしろい。
カーディアス絶体絶命の「どうしようもなく一人だ」とか、カーディアスとバナージの親子の最期の別れとか、連載でも単行本でも震えるシーンだ。
カーディアスというキャラが非常にキャラが立ってるだけに、ここで退場となるのがたまらなく惜しい。
今更ながら、バナージ・リンクスという名前は、バナージがクワトロ・バジーナアナグラムで、フル・フロンタルとの対比なんだろうか?
そして、リンクスというのは、その名の通り彼を起点に人々がつながっていくことを意味しているのかと勘繰ってみる。
本編では、マリーダ・クルスの出自が明らかにされたが、それを踏まえて序盤の展開を読むと、ようやく伏線の意味がわかってくる。
とはいえ、マリーダの出自も、サービスのつもりなのかどうかわからないが、
わざわざ歴史というか正史とのつながりを主張するような所から、引っ張ってこなくてもいいでしょうと言いたくはなる。
なんというか、設定の各所が「あざとい」んだが、それを自覚して「あざとい」ことをしてくるからタチが悪い。
いわゆるシャアが「私はアコギなことをしている」といった状況だ。
だからこそ、消費者としてはこれをガンダムとして読むのではなく、福井晴敏として読みたく思うのではないかと感じている。
おもしろいんだけどね。それは確かに。