狼と香辛料II 支倉凍砂 イラスト:文倉十 電撃文庫

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

前回、機転を利かせて商人としての一つの大きな成功を収めたロレンス。
しかしチャンスのあとにピンチありとは言ったもので、一山当てた資本を元手に始めた信用買いから始まる破産へのカウントダウン。
返済までの期限も2日しかないまさに生き地獄。
が、ピンチのあとにチャンスありの言葉もまた真なり。
真っ黒な明日から脱出すべく、ロレンスはまさに人生を賭けた一大勝負に挑む。
正直、このシリーズで一番おもしろいのはあとがきかもしれない。
電撃文庫大賞で銀賞を受賞した際の賞金の半分で株を始めたのが2006年とのこと。
2005年から2006年は、株全体としてはそんなに悪くなかったような印象があるが、どうなんだろう?
そして受賞時の賞金の半分では、それこそ今の当方よりも元手が少ないスタートとなるので、その後、印税が入るたびに資本を追加投入したんだろう。
戦力の逐次投入は愚考と言われるが、経済では必ずしも愚考とは限らない。
元金が大きければ、その分リターンも大きくなることは作中でロレンスも述べている。
しかしそのロレンスもまた、元金の3倍を信用で投資した結果、破産寸前まで追い込まれてしまうわけだが・・・。
投資は余裕資金でやりましょうとはまさに言葉どおり。
支倉氏は、自身の作品のような浮き沈みをたどるのかもしれない。
それはそれで、ネタにありつけると考えればいい・・・のかどうかは本人のみぞ知る。
しかし、信用に手を出さずとも、現物で角川のときの2倍大変なことになってる昨今の市場は本当にヤヴァイ。半ば冬眠しながら様子見。