狼と香辛料III 支倉凍砂 イラスト:文倉十 電撃文庫

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

商人として初めての一大勝負。そして人生がかかった破産間際の攻防。では、次は一体どんなイベントが?
男の莫大なチャンスとピンチと来れば、今度は自分の女の一大事!
借金という建前でロレンスとホロの絆を人には話すが、それを真に受けホロに惚れた若い商人が、ロレンスに戦いを挑む!
普段ならば、どうということもないロレンスなのだが、散々黙っていたホロの故郷が滅びたという話が知られてしまい、ホロとロレンスの絆にヒビが。
追い込まれたロレンスは、起死回生をかけてホロを守るための一大勝負に挑む。
支倉氏は、至極読みやすい伏線と山場を描く作家なんだなと思った。
序盤に必要な情報はあらかたばら撒いて、山場に向けて事件を起こし、それをほぼ一本道で収束させていく、オーソドックスな起承転結を書ける人。
いつも、「転」の部分で、もう一波乱何か起こるんじゃないか?と思いながら読むのだが、大抵そのまま解決に向かうので安堵する。
そこでもう一つスリルを提供するとすれば、その作家は巧妙だが意地が悪いと言えよう。
どちらがよいかは読者の好み次第なので、なんとも言えない。
さて、毎回楽しみなあとがき。そのあとがきを忘れられたとあっては、一読者としては泣くしかない。
今回は株の話はなし。こういうときは、順調すぎて語らないか、あるいはネタに出来ないほどの手ひどいやられ方か、なんだが・・・。
しかし、億ションという言葉が出てくるということは、比較的順調なのかもしれない。
株というのは、絶対に引いてはいけないジョーカーを避けて、絶対にやってはいけない鉄則を守れば、比較的大負けはしないもの。
日本語、変じゃないの?というのは本人も気にしているようで、そのあたりは担当と校閲がしっかりやっているらしい。
最近は、本当に校正やってるのか?という、専門家ではなくとも気付く誤字脱字をそのまま出すところもあるのだが、電撃文庫はしっかりやってるというのがわかる。