ガンダムバトルクロニクル 究極の探求編その2

ガンダム バトルクロニクル - PSP
全ての機体の鹵獲完了。
連邦(0079&0083)、エゥーゴ、エクストラの壁紙もそろって、あとはジオン(0079&0083)、ティターンズアクシズが残ってるけど、ひとまずこれで終了。
新ギレンの野望に移らないとね。
とりあえず、総評をしておきたいところ。

評価される点

  • シリーズを通して段階的にシステムが改良され、登場MS・MA、キャラクターやミッションのボリュームも増加した点
  • 機体のチューニング、キャラクターの成長要素を取り入れた点
  • 演出がコミカルにわかりやすくなった点
    (EXAMシステム発動時の爆破演出、ゾックの回転レーザーなど)
    ただし、後述の改悪された演出も存在するので注意が必要。
  • シチュエーション燃えを惹起させる要素を積極的に取り入れた点
    (シーマ艦隊の「処分」ミッションなど、ミッション内容の提示における細かな演出)
  • 協力プレイの充実化が図られた点

改善が要望される点

  • 「粋」な演出がカットされた、あるいは足りなかった点
    前作「ガンダムバトルロワイヤル」では、時代が変わった際にノエル、ユウキからまた同じ部隊で再会したことを喜ぶ粋な一言がもらえ、
    この一言が宇宙世紀という時代の連続性をプレイヤーに実感させる画期的な演出であったのだが、
    本作ではそういった演出がカットされてしまった点が大変遺憾。
    シャアの演説、シロッコの演説などシチュエーション燃えという要素はふんだんに盛り込まれているにも関わらず、である。
    こうした特別なシチュエーション時ならば、出撃した最初の一言が通常とは異なるセリフを主人公やオペレータ、パートナーが発する方が自然な演出だったといえる。

評価が保留される点

  • パスワード制の追加ミッションの賛否
    いわゆるオンラインによる追加ミッションがなんらかの理由・背景によって困難であったがゆえの措置と思われるが、
    様々な媒体にばら撒いたあと、最終的に一括でフォローできていないのは問題。
    ただ、結果的に有志のプレイヤーによって、まとめサイトが作られ補完はされた。
  • エクストラミッションの一部が、メディア側の自己満足に過ぎない点
    「修羅の双星」も問題として関連するが、ゲーム誌編集者が対戦相手のパイロットとして登場するのは、メディアの力を借りた自己満足でしかないとも言える。
    本作はいわゆるオマケモードでの遊びなのでまだ許される範囲ではあると思われるが、
    関連として挙げた「修羅の双星」は、プロデューサー本人が本編にFAガンダムで登場する。ご丁寧に自ら声をあてるという徹底ぶり。

総括

全体としてはシリーズ三作目ということもあり、基本的なシステムは一つの完成形に到達したという点で高く評価される。
これまでのガンダムゲームにありそうでなかった点を多数盛り込んだ点は画期的だったと言えるだろう。
そうした評価もあり、モンスターハンターの一人勝ち状態のPSP市場においては健闘した、スマッシュヒットを収めたといって良いだろう。
現状、まだ「Gジェネレーション」シリーズや「VSシリーズ」といったブランドには及ばないが、
本シリーズが「ガンダムバトル〜」シリーズとしてのブランドが確立される可能性を提示したことは確かである。
本作に限っての評価では、いくつか改善しなければならない点(前作より改悪されてしまった点も含めて)があるが、
総合評価では名作と呼んで差し支えないレベルの仕上がりになっているといえる。
むしろ厳しいのは本作がブランドと認知され、シリーズ化した際の今後の展開である。
本作でシステムは一つの完成形に到達したと前述したが、裏を返すとシステム面ではほぼやるべきことをやりつくしてしまったということと同義であり、
今後は登場MSやミッションなどのボリューム増加が、まず最初の展開になると思われるが、それだけではプレイヤーを飽きさせてしまうことにつながっていく。
事実、カプコンの「VSシリーズ」も段階的にシステムが完成に近づいていく過程では、プレイヤー母数も売上本数も伸びているが、
システム完成以後のMSとキャラクターを置き換えた以降のシリーズ作品は、その数字が確実に落ちてきている。
それでも50万本以上を誇るのは、完成時点のユーザー母数が80万〜90万本というケタ違いだったからこそであろう。
本「ガンダムバトル〜」シリーズで最大の課題となるのが、そのプレイヤー母数である。
現状、発売から約1ヶ月で15万本以上と順調であるが、これが次回作までに50万の母数を獲得できるかというと、そうは甘くない。
20万本超えは達成したと言っても、これが30万本まで到達するかというとこれもまた厳しい。
ならば、本シリーズはさらなるプレイヤー母数を拡大すべく、完成されたシステムではあるが何らかの新しい発想を盛り込んでいかなければならないことになる。
しかし、完成されたシステムに手を加えるということは、その完成を破壊することにつながりかねないジレンマを抱える。
こうした背景から、本シリーズは本作でシステムの完成をみたことによる今後の閉塞の可能性をも同時に抱え込んでいる。
この状況を打破する可能性を一つ挙げるならば、散々「完成されたシステム」と述べたが、
唯一プレイヤーが共通する思いを抱えているのがMA、変形形態、SFSの操作性の不便さである。
本作は地上戦、宇宙戦、水中戦では高機動をウリにしたスピード感が味わえるのに、空中戦での再現度が、その3つに比べて今ひとつである。
さらなるシステムの完成度を高めるには、キーワードは空中戦にあると考える。
最後に、本作は足りない、あるいは過剰になりすぎている部分があるとはいえ、ガンダムへの愛情がよく伝わる作品でもある。
だからこそ、その愛情がユーザーに伝わり、三作目における「ガンダムバトル〜」シリーズの開花へとつながったのだと信じてやまない。
全ての開発に関わった方々への感謝をささげたい。一ユーザーとして。