フルメタル・パニック! せまるニック・オブ・タイム 賀東招二 イラスト:四季童子 富士見ファンタジア文庫

前回のあとがきだったか、以前賀東先生に直接聞いたのだったか、あるいは人づてに聞いたのだったか覚えてないのだが、
確か重要人物、主要人物が物語の途中で命を落とすことについて云々という話を聞いた、見た記憶がある。
それが、まさか今回の新刊のことを指していようとは、本作を読むまでは露ほども思わず、まさしく寝耳に水なクルツの死だった。
ただ、レナードたちがやろうとしていることは、世界をあるべき姿に戻す、
ウィスパードが生まれるきっかけとなった事件によって生じた世界の歪みを修正することで、そうすることで全てが元に戻る、ということを匂わせる。
全てが元に戻るということは、本来死ぬはずのなかった人間も、修正された世界では生きているのでは?というのがレナードの見解。
しかし、相良宗介は死をも含めて、それが一人の人間のアイデンティティであると主張する。
死を伴わない個人は、たとえ肉体の遺伝子が同じで、同じ記憶を持っていたとしても別人だというのだ。
主人公の主張は、一番の戦友の復活を明確に否定する。
ならば、希望がありそうに見えて、そういうことなのか・・・。
世界が歪んだ理由と、ウィスパード誕生の理由は明らかとなった。
しかし、決着は着いていない。
次回、長年に渡る「フルメタル・パニック」の長編に、ついに終止符が・・・!