俺たちのガンダム・ビジネス 松本悟/仲吉昭治 日本経済新聞出版社

俺たちのガンダム・ビジネス

俺たちのガンダム・ビジネス

ガンプラ」がどういった経緯で誕生し、さらに空前のブームになっていたのか、その過程が描かれている。
中でもおもしろいのは、「ガンダム」の版権を有していた創通に、「プラモ(玩具)化権」の交渉に臨むシーンであろう。
キャラクター商品の玩具やゲームなどは、版権元へ赴き「こうしたものをつくりたいけどよろしいですか?」と許可を得なければ当然つくれない。
今日のバンダイナムコグループから考えれば、その権利の取得は楽に思えるかもしれない。
しかし、当時のバンダイは主流ではなく、むしろ断わられる可能性の方が相当に高かったのだそうだ。
そんな取得がまず困難な状態で、どうやって取得に成功したのか?
それが、実際に交渉を担当した本人の口から語られる。
もしここで、バンダイ模型がガンプラ化権を取得できなければ、今日のバンダイはなかったであろうし、それはガンダム自身にも言える。
というのも、「機動戦士Zガンダム」の企画自身がバンダイのプラモ展開上発生したものだからであるし、今日のガンダム関係の商品化権はバンダイナムコHDが独占状態にある。
(ゲームにおいてはバンダイナムコHDが許可を出すことで、カプコンコーエーによる開発という形式はあった。)
さらに言えば、アニメのガンダムシリーズ(今は「機動戦士ガンダム00」)を制作しているサンライズは、バンダイナムコHDの100%子会社でもある。
この起点がなければ、今日のようなバンダイナムコグループガンダムビジネスを一手に担うこともなかったろう。
ガンダムファンの必読書というわけではないが、バンダイに興味があるかガンダムの研究に興味のある方は一読しておくといいかもしれない。
分量的にはあっさりしたもので、2,3時間程度で読み終わる。そして中々にドラマチックでおもしろい。