機動戦士ガンダム MSイグルー2 第1巻 「あの死神を撃て!」

前作の最終巻でもかなり3Dの人物描写のグラフィック向上が見て取れたが、今回は前作をさらに上回るクオリティに仕上がっている。
カニック描写も、グラフィック自体はかなりの安定を見せているが、問題はその高クオリティを活かしたアクションに昇華しきれていない点。
静止状態のザクは18メートルの重量感を見せることに成功しているのだが、
そのザクが歩き、ダッシュをするとまるで、子供がスキップしているかのような軽快な動作に見えてしまい、静止状態とのギャップが激しくなってしまっている。
ゲームなどでは、逆に軽快に動かせなければレスポンスが悪くなるのでそれで良いのだが、
リアルを追求するための3Dアニメーションならば、その点は場合によっては致命的な欠陥になりかねないと感じた。
3Dグラフィックのクオリティの高さは証明されたと言っていいので、問題は、その次の段階に移行したということだ。
これは、サンライズの3Dのスタジオである「D.I.D.スタジオ」が一皮向けたことの証左とも言える。
内容に関しては、戦術的に「?」と思える部分もなきにしもあらずだが、物語としては単話完結でわかりやすく楽しめるレベル。
MSなしにMSの撃破数13を記録したバーバリー中尉は、間違いなく戦後の連邦軍「エースパイロット紳士録」に掲載されておかしくないレベル。
が、MSパイロットではないので、別の形で表彰されたんだろうと思う。
MSにハンドガンを向けるシーンは、皆川ゆかの「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」にて
ブルー2号機を強奪して逃げるニムバス・シュターゼンに向けて銃撃したユウ・カジマを思い出した。