乃木坂春香の秘密 第9巻 五十嵐雄策 イラスト:「しゃあ」 電撃文庫

乃木坂春香の秘密〈9〉 (電撃文庫)

乃木坂春香の秘密〈9〉 (電撃文庫)

今回はどんな展開になるのか、前回の伏線から既に見えていたので、とにかく終盤までイライラしっぱなしな内容だった。
端的に言うと、春香を有望なアイドルの卵と見込んだプロダクションが、春香の承諾を得ずに騙してアイドルのオーディションに参加させ、そのままデビューさせようという内容。
そんな中、裕人が自らの力でその奇妙な点に気づくとか、あるいは春香の気持ち、自身の気持ちを見抜いて行動に移すとかすればいいのだが、
ここまでの裕人の成長が皆無であったかのようにうじうじしている姿がいつものお決まりパターン通りに描かれ、それがますますイライラを募らせる。
結局は周りの人間に諭されることで初めて、事態の矛盾点を見抜いて春香の救出に動き出すわけだが、そこまでが無駄に長い。
最終的に納まるところに納まることも予定調和なだけに、カタルシスすら起こらない。
暴走したプロダクションに対するお仕置きタイムみたいな展開でもあれば、多少は溜飲も下げられようが、それもなく。
これまでの本シリーズの中で、もっとも毒にも薬にもならない内容だった。それが、読む前から予想できていたので、二重に辛い。