機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V 公式コンプリートガイド バンダイナムコゲームス

ゲームの攻略本としては非常に優秀なデキなのだが、一部の解説の書き方が非常に問題で、ガノタの間でも波紋を呼んだ本書。
シャア専用ブログ」の中の人とも、本書について意見を交換したが、本書で大事な点は2点。
1つは、本書の冠である「公式」というのは、あくまでゲーム攻略本としての「公式」であって、ガンダムの「公式」を意味するのではないということ。
もう一つは、ガンダムの資料も史実の資料と同じく、その信頼性・重要性などから等級化すべきであり、本書の設定はそのクラス分けで言うところの「ゴシップ」に相当する資料であること。
この2つを念頭において読めば、あまり大騒ぎするほどのことではないと感じた。
正直、設定の扱いの暴走の件だけを聞いて、キュービストという出版社への個人的な信用を失うところだったが、攻略情報自体に問題はない。
問題があるとすれば、設定を担当したライターと、そのライターの暴走を制御しきれなかった上司と、監修しているはずのバンダイナムコゲームスの担当者だろう。
この問題は、現在のガンダムを取り巻く一つの問題点を浮かび上がらせる。
それは、ガンダムの版権元であるバンダイナムコグループの人間であっても、ガンダムの設定関係を監修・指摘できるかどうかということは、もはや特殊なスキルになってしまったということだ。
つまり、一般のバンダイナムコ社員ではできない。
かつて、現在のようなメーカーの都合で好き勝手に新MSを登場させることができなかった(しなかった)時代、そのときには、現場クラスのプロデューサーにガンダムのことをわかっている人間は確かにいた。
しかし、ここ10年くらいの間に、そういったことができる人間が、ことごとく現場からいなくなってしまったことが、昨今のガンダム市場の縮小の遠因であるように感じられてならない。