総解説ガンダム事典 Ver.1.5 皆河有伽 監修:サンライズ 講談社

総解説ガンダム事典Ver.1.5 (KCデラックス プレスクール第三出版)

総解説ガンダム事典Ver.1.5 (KCデラックス プレスクール第三出版)

ガンダムオフィシャルズ」の編者である「皆川ゆか」が「皆河有伽」に名を改めてガンダムの資料本を新たに作成したもの。
2年前に出た同タイトルの資料のバージョンアップ版。
内容変更は主に、巻末の資料として宇宙世紀のMS・MAの解説が一気に増えた。
F-90とのコンペに敗れたというMSA-120の設定画なんて、初めて目にしたよ・・・。
ガンダムオフィシャルズの編者が手掛けたということもあって、基本的にはアニメを中心とした中立性の高い資料。
特に、ガンダム資料の優先度という考え方が重要だと私自身も感じていて、
その意味ではガンダムの資料分析という界隈において、今もっとも注目を集める重鎮と言えよう。
このVer.1.5では、編集段階でまだ完了していなかった「機動戦士ガンダムUC」、あるいは全ての資料が出そろっていないPS3機動戦士ガンダム戦記」は収録されていない。
おそらく、他の資料の扱いからすれば、次のバージョンにて収録されることはほぼ間違いないと思われる。
本書においてただ一点、気になる個所があるとすれば、「ロザミア・バダム」の名前だろう。
ロザミアについては、冨野監督の小説版において「ロザミア・バタム」と記述されており、
劇場版Zガンダムにあたって冨野監督より「バタム」が正しいとされたこともあって、現在は「ロザミア・バタム」という名称に改められている。
近年、地球連邦軍の英語略称がUNTからEFF(EFSF)に、ジオンの英語名称が"ZION"から"ZEON"に、「機動戦士ガンダム0080」の「シュタイナー・ハーディ」が「ハーディ・シュタイナー」に改められたように、
旧来の設定がその後の世界事情や設定考証によって正規の表現が変更になっているものもある。
総解説とするからには、そのあたりの変更点もぜひ反映していただきたいと願う。
また、話はそれるが、本書では「アドバンス・オブ・Z」の設定もきちんと取り上げており、AOZをれっきとしたガンダム作品として丁重に取り扱っているのが感じられる。
これは、メディアワークス(現アスキー・メディアワークス)という他社での展開だったにも関わらず、この扱いにフェアプレイの精神を感じてすごく好感を覚える。
一方で、AOZの企画コンセプトをないがしろにする新企画を立ち上げた角川書店
仮にもグループの作品に対して、この扱いは正直疑問を覚える。
この差が、ガンダムを書籍というコンテンツで提供する2社の差なのではないかと思ってしまうが・・・。