聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)9 三浦勇雄 イラスト:屡那 MF文庫J

聖剣の刀鍛冶<9>(MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶<9>(MF文庫J)

今回の表紙は作戦の要となる民族衣装。
これまでの戦いを経て、誰もがその実力を認めるようになったセシリー・キャンベル。
だが、彼女自身は自身の力に満足することができず、さらなる高みを求めて研鑽に努める。
一方、相棒のアリアは以前の激戦以来、変調を来たし魔剣へと変化できなくなっていた。
そんな折、都市への侵入者によってアリアが拉致されてしまう・・・!
作品によって、主人公やヒロインに自己投影させる作品とそうでない作品に分かれるが、本書は明らかに前者だ。
セシリーというヒロインの見るもの、感じたこと、経験による成長が本書を読む者を魅了する。
それは「上等。シリーズ」から続く、作者の持つ特徴とも言えるだろう。
三者、すなわち読者が客観的にセシリーを見て、「君は強くなった」と感じるところまで来たわけであるが、肝心のセシリーつまり一人称であるところの作者はまだ満足の境地に至らないという構図。
果たしてセリシーが、本シリーズがどこまで高みに上りつめるのか、今から空恐ろしく楽しみでもある。