データガンダム キャラクター列伝 【宇宙世紀編II】岡崎昭行 角川書店

データガンダムにて紹介されたキャラクターの内、宇宙世紀に関わる35回分を収録した内容。
参考文献の記載方法に関する問題点は前回も述べた通りだが、今回もその点は改善されていない。
が、今回気付いたのはガンダムの資料本として致命的とも言える点が本書にはある。
それは、誤字脱字を防ぐという意味での校正と、ガンダムの資料として間違いがないかを確認する校正の2点が確実に行われなければ、本書の資料の正確性という点から存在意義がなくなってしまうということにある。
たとえば、87ページの連邦宇宙軍艦隊の一覧は、本来であればどこにも真似できない資料として非常に価値のあるものになる一覧なのだが、右下の資料中の記号の解説が明らかに間違っている。
本書ではE=エゥーゴ、Z=ジオン、T=ティターンズ、A=アクシズとされているが、「地球連邦宇宙軍」の艦隊一覧なのであるから、そもそも「アクシズ」が存在するのは根本的に間違っている。
「ジオン」に関しては「ジオン共和国」という観点からすれば間違いではない。
つまり、本ページの正しい記載はE=地球連邦軍、Z=ジオン共和国軍、T=ティターンズ、A=エゥーゴとするべきであろう。
上記のお粗末な間違いが発生しているのは、校正を担当した人間に資料の内容が正しいか否かを判断するだけの「ガンダムとしての知識」がないからと断言せざるを得ない。
(そもそも「エゥーゴ」の英字表記による略称は【A.E.U.G.】であることを知っている人間が校正すれば、Eがエゥーゴの略称とされていることに違和感を覚えるはずである。)
本書は試みとしては、どこにも真似できない至上最高の資料となりうる存在である。
しかし、そのためには前述した日本語としての校正に加えて、ガンダムの知識としての校正も不可欠である。
本書は、前者の日本語の校正としても決して満足とは言えないレベルなのが残念である。
本書の誤記に神経を尖らせるのは、本書が研究を志すものにとってバイブルとなりうる存在だからであり、バイブルが間違っていれば、その間違いがそのまま後世に引用され続けることを危惧しているからである。
本書に携わる方には、その点を意識していただきたい。