言の葉の庭

劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の場所」、「秒速5センチメートル」、「星を追う子ども」に続く新海誠監督の描く最新作。
新作が生み出されるたびに、新たなる進化を見せるため、毎回何が今回の一番描きたいことなのかと楽しみである。
TV等の特集では、今回は「雨」を起点とする「水」の表現が秀逸と評価されているが、個人的には「雨」の際にあわせて描かれる「風」もまた美しい表現だったと思う。
また、「雲のむこう、約束の場所」、「秒速5センチメートル」と男が報われないなあと感じることが続いたのだが、今回はようやく、男が報われたと言っていいのではないかと思った次第。
もちろん、これから先、タカオを待ち受ける物語は決して順風満帆ではないだろうけれども、夢を持つためのとっかかりを得たのではないかと思う。
男とは、若くしても、人によっては老いてもなお夢に生きる生き物なので、夢への入り口にたどり着けるか否かは、男の人生にとって、それはそれは重要な事項なのだ。
そして、本作はサントリーの「プレミアムモルツ」フリークである私にとって、大層「金麦」が飲みたくなる作品でもある。
「金麦」を始め、「MALTS」、「プレミアムモルツ」と登場するので、さてはサントリーが協賛しているなと思ったが、クレジットの協力企業の名にサントリーは一切ないことに驚愕した。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版のように、企業とタイアップしていてもおかしくないのに、これはある意味でショック。
サントリーにいる新海誠監督ファンは、早く広報に知らせて正式タイアップをした方が良いのではないか・・・。←
本作は短編「だれかのまなざし」が同時上映されるのだが、これが不意を突く形となって、とても良い作品であった。
「とある存在」の視点を借りる形で、一人の女の子が大人へと成長していく様と、それを見守りながら少しずつ年を重ねていく父親(母親)の家族の絆が描かれる。
こちらは、これまでの作品でも描かれた新海誠節を十全に表現した良作であると思う。