蒼き鋼のアルペジオ 第10巻 Ark Performance 少年画報社

イオナたちと別行動を取る千早群像は、白鯨に振動弾頭魚雷のデータをサンプルの移譲を無事に終えるが、伊401がコンゴウ艦隊と戦闘状態に移行したことで、帰還のタイミングをうかがうこととなった。
一方、白鯨のもとへ霧の「東方艦隊」より使者が訪れる。
千早群像の描く未来とは、霧と人類の対話のために、人類を霧と対等に押し上げることであると語った矢先の出来事に、霧と人類の交流は当事者同士が想像しないままに活発化していく。
軍事での霧と人類の接触が白鯨とヴァンパイアであるのに対して、日常生活における人類と霧の交流をズイカクの漁業による人類との物々交換という経済活動によって対比して描いているのがおもしろい。
政治的、軍事的には確かに対等であるには力、群像の言葉で言う「自信」を持たなければ渡り合えないが、普段の生活における丁丁発止は、とにかく食わねば生きられぬので、相手が何者であろうともとにかく取引でもなんでもしなければならないのである。
群像の言葉を否定する意図での演出ではないのだろうが、人類も霧も末端は案外上が考えているよりもたくましくやってますということかなと解釈した次第。