機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム 第2巻 飯田馬之介 角川書店

機動戦士ガンダム」という作品に少しでも興味のある人は、本作をぜひ読むべきだと思う。
 本作は初めて公式に1年戦争の最初の1週間、いわゆる1週間戦争を描いた作品で、序盤戦を圧倒的優位に進めたジオン公国軍と、
 18mものMSに対して生身の体で拳銃やらショットガンやらバズーカで立ち向かわざるをえなかった連邦軍の姿が描かれている。
 本作を読んでいると、ガンダムという作品は宇宙世紀0079年9月18日(アニメ版第1話に相当)からの物語ではないのだということがよくわかる。
 本作を読み進める上で、いつも目頭が熱くなってしまう台詞がある。

チキショウ・・・なんだよ。誰もいネェのかよ。

これはとある連邦軍兵士の言葉なのだが、生身でコロニー内の公国軍、MS-05 ザクIやドップ、ルッグンと渡り合い、
 瀕死の状態で仲間との合流地点にたどり着いたにも関わらず、そこには誰もいなかったという絶望的な光景を目にしての台詞なのである。
 この時点でのMS-05 ザクIの圧倒的な強さは言うまでもないが、ゲーム作品等では雑魚でしかないドップ(戦闘機)やルッグン(偵察機)も脅威である。
 あなたが戦闘機に生身で立ち向かう姿を想像してほしい。
 まず、無駄死に終わることであろう。だからこそ、やっとのことでルッグンを撃墜しただけでも、連邦派の私には熱いものがこみ上げるのである。
 本作は「機動戦士ガンダム第08MS小隊」の監督を務めた飯田馬之介氏が執筆しているだけあり、実に読み応えのある作品として仕上がっている。
 敢えてもう一度繰り返す。ガンダムという作品を知っている、あるいは興味を持っている方は、ぜひ本作品を読むことをお勧めする。