マリア様がみてる いとしき歳月(前編) 今野緒雪 コバルト文庫

この頃になって、三薔薇さまがその魅力を思う存分発揮。
 もちろん、これまでの薔薇さまに魅力がなかったというわけではなくて、より親しみやすい魅力を発揮しだしたという意味。
 聖さまは当初から親しみやすさ全開だったけれども、「いばらの森」ではシリアスな過去をみせることで二つの面における魅力を獲得。
 蓉子さまは遅れること「ウァレンティーヌスの贈り物(後編)」にて、体調不良というアクシデントを通して、親しみやすさを獲得。
 そして本作では江利子さまが食いついたら離さないという面を前面に押し出して、天才という面以外の魅力を発揮。
 さぁ、より親しみやすくなった薔薇さま方を得て、ここからどんどんおもしろくなるぞ!というところで「ご卒業おめでとうございます」。
 ・・・実にもったいない。もったいないと感じるからこその退き際なのかもしれないが。
 その後も聖さまは毎度のことながら、要所要所では現れる蓉子さまと江利子さま。
 蓉子さまの方は片がついてしまったので、今度は由乃さんの妹絡みでどれだけ江利子さまが暴れてくれるかがポイントか。
 ひょっとしたら、三薔薇さまの卒業をもったいないと感じていたから、私は「ぽぇM。」(眠杜文庫。)さんの作品に惹かれたのかもしれない。
 (初めて目にした作品が「Rose House RESISTANCE」という先代三薔薇さま大活躍の作品で、その展開に思わず狂喜乱舞した。)
 良い意味でキャラが崩れてきたといえば、祥子さまもそうだ。
 のけ者にされたと思い込んでハンカチをねじ切るくらいにキャラが崩れてくると、見ている側としてはむしろ爽快。
で、話は変わって祐巳たんに一言。
 妹にめろめろな兄というのは、よくあることなのですよ・・・。(えー
 で、祐麒きゅんは祐麒きゅんで姉にめろめろなんだと個人的に解釈するがどうか。(どうかって・・・。)
 「胸が当たってる!」という祐麒きゅんの抗議も、これ以上されると姉といえども自制がきかなくなるという意味と見た。
そういえば、ゴロンタ(メリーさん、ランチ)の初登場がこれか。あっさりと登場したので思わず見落としてた。
 で、その際の聖さま祐巳ちゃんの会話より、超個人的なことを。
 狼だろうと犬だろうと、志摩子さんは志摩子じゃぁぁぁぁ!→志摩子さんへの愛は変わらん!!と思ってしまうわけだが、
 それは山百合会由乃さんと祐巳ちゃん、祥子さまと令さま)にとっても同様なんだろう。
 良い仲間をもって幸せやね、志摩子さん。
ラストにメモ。山辺さんは28歳。結婚経験あり。(奥さんは既に他界。)一人娘がいる。
 ・・・娘さん、3つか4つくらい?
 江利子さま、「将を射んと欲すれば馬を射よ」ということで、まずは娘さんを陥落してくだされ。