生命の尊厳

研修中、突然相部屋の同僚がぶっ倒れました。
 体調が悪かったらしく、脇に外れようと立ち上がった瞬間に倒れ、全く意識がなくなりました。
 それを見て、即座に駆け寄る同期のメンバー。
 そこには、与党とか野党とか言ってた派閥もくそもありません。
 一人の人間の生命がかかっている、そう意識した瞬間、まるで弾けるように行動した同期の人間たち。
 即座に救命活動、並びに責任者、救急への連絡を行い、相方は病院へと運ばれていきました。
運ばれていった彼とは、部屋が同じこともあって今回の一件、派閥抗争に関して今朝方に話し合ったばかりでした。
 彼が言うには、私は自分たちの意見を通すために、相手を叩き潰してでもという態度に見えると指摘され、
 全くの正論に返す言葉もなかった、ということがあったのです。
 理想を言えば、そういった派閥の垣根を越えて行動することこそ肝要。
 頭ではわかっていても、現実問題としてそうはいかない。半ば諦めかけていたのが本音です。
 皮肉にも、その彼がきっかけとなり派閥の垣根を越えた救命活動という形で一つにまとまったように思えました。
なんとか無事に生還した彼はその話を聞き、「人間、いざというとき、特に生命の尊厳が関わっているときは、やれるもんなんやね。」
 そんな風に笑っていました。
 一度できたのだから、これからも派閥とか意見の相違での敵視とか、
 そんなことに捉われない行動が取れるということがお互いによくわかったはずです。
 気付くのが、行動するのが遅かったかもしれません。
 が、彼が文字通り体を張って見せてくれたことを、明日から早速実行に移そうと思います。