機動戦士ガンダムSEED DESTINY PHASE-30「刹那の夢」

静かでしっとりとしていてゆっくりとした展開だが、ところどころに熱いものがこみ上げる。生存したオーブ連合首長国の軍人の一部はアークエンジェルへと合流したわけだが、結局、総司令官のユウナ・ロマ・セイランはどうなったんだろうか?合流しなかった生存者が送り届けたというところか。
キラ・ヤマトの行動は対症療法であって、原因療法ではない。だからその時々で対応が変わることになる。これを強く批判する者も多いが、この事態の原因療法とはそもそも何だろうか?極端な答えを出すならば、パトリック・ザラムルタ・アズラエルの提示したナチュラルもしくはコーディネイターの根絶となる。もちろん、どちらか片方が倒れたところで、またしても内部の対立から始まる戦争があるのは明らかで、究極的な解決ではない。ナチュラルとコーディネイター、それぞれが共存共栄していくための世界作りの原因療法となる答え、恐らくそれはない。
ないからこそ、一つ一つの事態に対処する対症療法で切り抜ける方法は、あながち間違いではない。ただ、その方法が外交努力ではなく、武力によるものだから批判が集中するのではないだろうか。独立勢力アークエンジェルが、今後コズミック・イラにおいてその絶対の武力のみではなく(残念ながら武力なしということは現実的ではない)、時に武力、できる限り外交努力といった形でプラント、地球連合の双方を変革させることができたら、かつてない展開となる。・・・とはいえ、実質ガンダムという作品は戦闘を描き、観るものを魅了し、関連商品を買ってもらうという商売としてのツールの側面が強いので、そういった展開はほぼ期待できないに等しいと考えておくべきだろう。最近は、キャラクタービジネスの隆盛もあって、戦闘がなくともキャラクターの関連商品が売れるということもあって、戦闘が一切ないことも多くなっているけれども。
これまで、自分の中ではギルバート・デュランダル議長ラスボスフラグか、ロゴスやブルーコスモスといったロード・ジブリールラスボスフラグ、ネオ・ロアノークラスボスフラグを想定していたのだが、どうもネオ・ロアノークといったキャラクターを単なる敵役で終わらせたくないという意志が見えて、そうなると地球連合内でネオが反旗、プラント内でラクス・クライン、あるいはシン・アスカを始めとしたミネルバ勢力が反旗、そして両勢力を変革し、新たな世界へと変革していくエンディングなどというものが頭に浮かんだのだが、果たしてどうなることか。
何気に、今回冒頭のカガリ・ユラ・アスハの泣きながら頬を紅潮させるシーンは萌えポインツが非常に高かったと思う。タリア・グラディス艦長シャワーシーン、ルナマリア・ホークの薄着は次点。
ステラ・ルーシェはもう痛々しくて気の毒。あれ、延命措置って言っていたことからわかるように鎮静剤しか打ってないはず。通常の人間ならば、点滴によって体内の電解質を正常に戻し、各栄養分を補給することで治療するんだが、その「正常域」がわからないエクステンデッドは、治療の施しようがないということになるんだよね。