機動戦士ガンダムSEED DESTINYについて考える 第28回

キラ・ヤマトの階級について


さて、上記の2項目「機動戦士ガンダムSEED DESTINY COMPLETE BEST」ならびに「機動戦士ガンダムSEED DESTINY オフィシャルファイル フェイズ02」より得られた情報を統合し、キラ・ヤマトの階級について考えることにする。ちなみに、上記の画像は「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」時におけるオーブ連合首長国軍の階級一覧表である。以前、考察した際のリストも参考として挙げる。
まず、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY COMPLETE BEST」より得られたキラ・ヤマトの階級である「Lieutenant General」とは、現在のアメリカ陸・空軍ならびに海兵隊における「中将」に相当することは先に述べた。(参考サイト)もし、キラ・ヤマトが「准将」であるならば「Brigadier General」と訳されるべきである。そして「機動戦士ガンダムSEED DESTINY オフィシャルファイル フェイズ02」ではカテゴリこそ「准将」とされているが、この場合は階級表よりも以下の記述の方が重要である。

(ちなみにキラは准将に昇進したが、)襟章、胸章、そで口だけ替えて、服はそのままだったようだ。

これは何を意味しているかというと、上記の階級表を見ていただければわかるとおり、襟章、胸章のワッペン(緑・白・緑・白の4段のもの)はワッペンのみを張り替えれば済むことなのだが、その下地になる服は新しいものを用意する必要がある。つまり、キラは「将軍」用の襟章と胸章のワッペンはすぐに用意できたが、カガリ・ユラ・アスハや、他の一部の首長しか着用していない特注の将官クラスの服を瞬時に用意することができなかったと考えられる。これが、キラ・ヤマトが「将軍」でありながら、佐官の胸章(ワッペンを除く)を身につけていた所以である。このように考えると、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY オフィシャルファイル フェイズ02」での記述は「将軍」であるにも関わらず、佐官の胸章を身につけていた理由にはなっても、「准将」であるにも関わらず、「将軍」の襟章をつけていた理由としては不適当である。
これら2点の資料により、キラ・ヤマトの「将軍」説はより確実性を増したことになる。ただ、現時点での資料において将軍がさらに細分化された階級を持つことを示した資料は見つからない。そのため、キラ・ヤマトが「将軍」であるとはいえても「中将」であるとは言い切れない。オーブ連合首長国軍の階級は、佐官以下は日本国の自衛隊のものに相当するが、将官以上(准将以上)は自衛隊ものとは異なっている。(自衛隊に准将という名称は存在しない。)准将が存在する各国の階級を考えるに、やはり冒頭のアメリカ陸・空軍、海兵隊が考えられる。となると、キラ・ヤマトの立場は「総司令官」であるカガリ・ユラ・アスハの一階級下、「司令官」に位置すると考えられないだろうか?本国にて指令を出すのがカガリを始めとしたスタッフ、総司令本部(国防本部)であり、現場での総指揮を執るのがキラといった具合だ。ただ、本作の場合はこれに旧クライン派や、ザフト地球連合軍から離反した勢力が合流し、その取りまとめを行ったのがラクス・クラインであるので、キラ・ヤマトが総指揮を執るといった場面は見られなかったことになる。しかし、ギルバート・デュランダルが倒れ、再度混乱する世界において再びオーブ連合首長国軍が戦線に出なければならないような事態が生じた場合、そのときは司令官キラ・ヤマトの姿が見られることになるのかもしれない。