機動戦士ガンダム MS戦線0079を再評価する

機動戦士ガンダム MS戦線0079 特典 メモリアルディスク付き - Wii機動戦士ガンダム MS戦線0079(特典無し) - Wii

特徴・ウリ

反省点

  • コアユーザー、ライトユーザーそれぞれへの訴求が中途半端になってしまった点
  • 原作ファンへも外伝ファンへもどっちつかずとなってしまった点
  • コアユーザーはシステムには満足したものの、ボリューム不足
  • ライトユーザーには操作法以外のシステムが難解、煩雑
  • 細かなシステムの質向上が、プレイヤーにわかりにくい仕様だった

再評価すべき点

  • 僚機フォーメーションの柔軟性が向上
    →形を変えてさらに発展できそう
  • 武装やカラーリングがほぼ自由に変更できるのは従来作品にはなかった点
  • キャラクターの成長・育成要素が存在した点
    ただし、それがプレイヤーにとってわかりにくい形であったことは確か。
    どのキャラがいつ、どれくらい強くなったのかが一目でわかるといい。
  • ロックオンがなくとも成立する有視界戦闘の再現に成功した点
    従来の作品ではパッドリモコンでの操作というゲーム性質上、ミノフスキー粒子下にも関わらずロックオンすることが前提の構成だったが、
    本作においてロックオンは補助的役割で、ロックオンなしでもゲーム的な戦闘が成立する可能性を提示した。

総括

機動戦士ガンダム MS戦線0079」はWiiでリリースする初のリアルガンダムゲームということで、
Wiiリモコンの特性をうまく活用したダイレクトな操作方法を提唱したことは一定の評価に値するだろう。
ゲームバランスも悪くなく、システム面でもこれまでの作品の蓄積からインタフェース上で細かな改善・改良点が見受けられる。
それをユーザーに意識させないという点は、クリエイターとしてもっと評価を受けて然るべきと思われるが、
逆にユーザーにもっと意識させるべき改良点が訴求できていなかった点は残念であった。
本作は開発期間、開発予算ともに決して恵まれたものでもなかったにも関わらず、システムとしての完成度はコアユーザーをも納得させる出来具合である。
ただ、そのしわ寄せがシナリオなどのボリューム面に現れてしまったがために、
メインとなるストーリーモードを新外伝と位置づけて期待したユーザーには期待はずれな部分もあったことは事実であろう。
本作で惜しむべき最大の点は、コアユーザーを納得させるシステムでありながら、ボリューム面で訴求しきれず、
またシンプルでダイレクトな操作方法はともかく、ライトユーザーにとってその他のシステム面では煩雑という印象が拭いきれずに終わってしまったことだろう。
結果として、本作はコアユーザーにもライトユーザーにもどっちつかずなタイトルで終わってしまったことが悔やまれる。
過去の徳島監督作品のラインナップと比較すると、本作はドリームキャストソフト「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で・・・」とよく似た印象を受ける。
それは売上面、システム面を含めたトータルでの印象ではあるが、
そういった意味では、本作は徳島カラーを純粋に受け継ぎ、反映した作品であったということもできるだろう。
また、開発元のベックは「VSシリーズ」のカプコン、「無双シリーズ」のコーエー、「Gジェネシリーズ」のトムクリエイト、「ガンダムバトル○○」シリーズのアートディンクと比較し、
「これぞベック!」というタイトルがないのが実情である。
敢えて挙げるならば「ギレンの野望」シリーズの浪川ガンダム
機動戦士ガンダム外伝」シリーズや「機動戦士ガンダム戦記」、「めぐりあい宇宙」などのリアル3Dガンダムアクションゲームの徳島ガンダムといった作品が挙げられるが、
カプコンガンダム」や「コーエーガンダム」のように「ベックガンダム」と誰もが認知できる状況には至っていない。
ガンダムゲームを取り巻く状況は、ここ10年間で大きく変化した。
それはゲーム業界のたどった10年間の変容を反映するといっても過言ではない。
この状況を打破する新ガンダムゲーム、「ベックガンダム」が登場し、新たなるガンダムゲーム史、ガンダム外伝史の1ページとなることを期待してやまない。