新ブラックジャックによろしく 第5巻 佐藤秀峰 小学館

臓器移植を描く上でどうしても描かなければならない脳死移植に関するエピソード。
脳死の患者から臓器移植をするとなれば、本作に描かれたことが当然行われるわけで、普段はそのことを考えない、見ないようにしている人間の目の前に、
「あなたの家族は残念ながら脳死状態です。二度と目覚めることはありません。ただ、臓器移植という形で、他の患者さんに貢献することはできます。」
と、いきなり言われても本作のような状態になってしまうのもうなずける。
本作では大学内での移植の是非を決定する倫理委員会の教授たちとのやり取りが描かれるが、その絞めとなる大ゴマでの教授たちの横顔が実に重く、圧巻。
ラストの臓器提供をした脳死患者への花を手向けるシーンと並んで、とても印象に残る二大シーンだった。