金を通して世界を読む 豊島逸夫 日本経済新聞社

金を通して世界を読む

金を通して世界を読む

世界を股に駆ける金取引の実績から、日本が世界に誇る金の第一人者と呼ばれる著者が描く、金にまつわる世界情勢のお話。
数年前の金価格の低下はなぜ発生していたのか、またその後の金価格の上昇、高止まりの背景などもわかりやすく解説されている。
また、「有事の金」と呼ばれる2つのエピソードも印象的であった。
阪神大震災の際、金庫にしまっていた現金は、火災の熱で使い物にならなくなってしまったが、金(インゴット)は煤けていたものの、全くの無傷だったという話。
そして、2001年9月11日の世界貿易センタービル崩壊の際、地下に存在した金地金の保管庫を崩壊したビルが直撃した結果、
さすがに形は変わったものの、重量は変わらなかったために、価値としての損失は全くなかったという話。
為替が不安定となって、再び金が注目を集める今、金の状況を知るのにちょうどいい。