風立ちぬ

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宮崎駿監督作品を劇場で見るのは「千と千尋の神隠し」以来なので、実に12年ぶり。干支が一回りしてしまった。
実在の人物である零戦の設計者、堀越二郎を基にした作品であるということと、宮崎駿監督が戦争を描くということが興味を持たせた。
宮崎駿監督はファンタジーの戦争は描くけれども、実際の戦争を描いたことはなかったように記憶している。
スタジオジブリ作品でいえば、火垂るの墓はあるが。
関東大震災の描き方を見て、宮崎駿は本作で決して戦争を描こうとしているのではないのだなと理解できるため、ある意味安心しながら堪能した。
主人公のキャストに起用された庵野秀明の声も特に違和感なく聴くことができた。
理系のモノづくりの淡々とした声というのは、確かに宮崎駿監督がイメージしている通りに思える声であった。
本作は戦争映画というよりは、一人のモノづくりに人生を捧げた青年が生きた時代が、たまたま戦争の時代だった。
ゆえに、まことに生きにくい時代であったけれども、彼らは生きねばならなかったのであるというように受け取れた。