東京トイボックス0 うめ 小沢高広 妹尾朝子 幻冬舎コミックス

東京トイボックス0 (バーズコミックス)

東京トイボックス0 (バーズコミックス)

ゲーム業界ならびにゲームクリエイターの群像劇を描いた傑作の前日譚的物語。
本シリーズのキーマンとなる天川太陽と仙水伊鶴が就職間近にして「ソリダスワークス」で再会する。
天川はアルバイトのデバッガーとして、仙水は通産省にも内々定を持つインターンシップの学生として。
インターンの一環としてデバッグチームでも業務することになった仙水は、再び天川とコンビを組んでゲームをプレイ(デバッグ)することになる。
張り合うかのように次々とバグを見つけ出す二人は社内でも注目を集めるが、マスターアップ寸前の最後のチェック段階にて、二人はとんでもないSバグを発見してしまう。
この緊急事態に、二人はどのように行動するのか・・・。
一時とはいえ、ゲーム業界に籍を置いた身としては、本書は自分の置かれた現実とリンクする部分もあり、とても共感を覚えながら読んでいたように思う。
本シリーズの感想中にも、その時々の現実のゲーム業界の事情と照らし合わせながら忘備録として残してきたが、やはり本作が始まった8年前ともまた大きく変わった。
コンシューマゲームの斜陽とソーシャルゲームの隆盛。そしてそのソーシャルゲームさえも陰りが見え始めている昨今。
今後、ゲームはエンターテイメントの中でどのような形となって続いていくのか。
それが怖くもあり、また楽しみでもある。
本シリーズは、そんなゲーム業界の勃興する時間の流れを切り取って、我々に見せてくれたように思う。