不幸論 中島義道 PHP新書

読み終えると同時に、声をあげて笑ってしまった。
 その笑いとは、決して愉快だからとか、失笑したとか、苦笑したからではない。
 なんだ、言葉こそ違うけれど、結局は似たような考え方の人なんだと思ってしまったからである。
 氏は「不幸」という言葉を使って人の生き方を語っているけれども、恐らく私の中でそれに当たる言葉は「満足」なんだと思う。
 「幸福」であろうと「不幸」であろうと、満足しているならばそれでいい。
 満足していないのならば、満足するように自らを磨き上げていこう。
 私の中ではこんなごくごく単純な感覚しか、今のところは持ち合わせていない。
 けれど、私にはそれでいい。
 ごちゃごちゃと小難しいことを考えたり、言葉にするのは学者に任せる。
 私は、私の言葉で、私が満足できるように、そして願わくば、私の近くにいる人にも満足を分けられるように生きていきたい。
 ただそれだけのことなんだ。
 それを改めて認識させてくれる本だった。本書を勧めてくださったふゆは先生に感謝。