機動戦士ガンダムSEED DESTINYについて考える 第15回「英字表記問題」

ユーレン・ヒビキ

キラ・ヤマトカガリ・ユラ・アスハの実の父親にあたるユーレン・ヒビキは自らの息子を最高のコーディネイターにした男でもある。それゆえに反コーディネイター団体のブルーコスモスの最重要ターゲットとなってしまったわけだが、今回は彼の英字表記に関する問題。テレビ版本編ならびに「機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション完結編 -鳴動の宇宙-」に彼の研究所が登場するが、そのネーム・プレートには「Ulen Hibiki」と記述されていることが確認できる。これは、サンライズによる「ガンダムの公式設定」に当てはめると「映像こそ公式設定」の見解に準拠し、紛れもない公式設定と呼ぶことができる。すなわち、これ以外の英字表記は「公式設定から外れる」ことになるわけである。
しかし、機動戦士ガンダムSEED"Club"のキャラクター辞典が彼の英字表記を「Ulin Hibiki」としたことから、大手出版社である講談社が制作した現在「機動戦士ガンダムSEED」においてもっとも精度の高い資料である「機動戦士ガンダムSEED OFFICIAL FILE ハンドブックI 用語集」においても同様の間違いを犯してしまっている。後藤リウによる小説版「機動戦士ガンダムSEED」においてはこの公式設定に準拠し「Ulen Hibiki」とされているのがせめてもの幸いであろう。
私が危惧しているのは、こうした影響力の大きいメディアでさえ公式設定を違えるのである。その間違いが、まるで伝言ゲームのように広がっていき、公式設定に準拠しているはずの見解が世の中から見えなくなっていく。そしていつの日か、間違いがそのまま公式設定にすり替わってしまわないか、ということなのだ。